富士バイオ株式会社

キトサンとは・加工方法と歴史を一望!最新キチンナノファイバーまで

作り方の紹介


医療材料から農業や工業分野、そしてサプリメントとして大活躍の「キトサン」は、「キチン」という物質から取り出されます。

「キチン」は、カニ以外にも、エビ、イカの軟骨、キノコ類、昆虫類の表皮、菌類の細胞膜などに含まれ年間で推定1,000億トン生物生産されているといわれています。

カニ殻は主に「たんぱく質」、「カルシウム」、「キチン」の3成分から成り 、およそ1/3ずつ含まれています。

カニ殻から「キチン」を取り出すには、まずカルシウムを酸で溶かします。次にたんぱく質をアルカリで除去し、その後十分に水洗いすると「キチン」が残るのです。

この「キチン」をさらに濃いアルカリで100度~120度の温度で加熱すると「キトサン」が作られます。





「キチン」発見から最新素材「キチンナノファイバー」までの200年!


「キチン」の発見は、19世紀初頭にさかのぼり、最初はカニではなくキノコから発見されました。1811年フランスの植物学者ブラコノーが西洋キノコをアルカリで加熱した後に溶けずに残った物質を見つけ「ファンジン」と呼びました。

その後1823年には、フランスの自然科学者オジールが、昆虫の外皮に「ファンジン」と似た物質を発見し、これを「キチン」(ギリシャ語で封筒・包み込むの意)と名付けています。

一方「キトサン」はというと、1859年ルジェが「キチン」を濃いアルカリの溶液で加熱すると有機酸に溶けることを発見。それをホッペザイラーが「キトサン」と名付けたのが1894年の事でした。

1800年代というと日本では江戸時代末期にあたりますが、当時の西洋の有機化学の知識では、「キチン」の人や環境への有用性の探究までに及ぶことは無かったようです。

月日は経ち「キチン」研究の長い沈黙から動きを見せたのは20世紀中頃になってからです。

1950年にはソ連医学アカデミー・リヒテンシュタイン合同による軍事工業的な開発が始まります。

そして1970年に蟹工船で発生するカニ殼の工業的利用を日本水産(株)が始めたのが日本では最初で、この辺りからカニ殼の研究熱は徐々に高まり始めます。

1977年には第1回国際会議がアメリカ・ボストンで開催されると、1981年には現在の日本キチン・キトサン学会の前身、研究会のシンポジウムが鳥取大学平野茂博教授を世話人として大阪で開催されました。

そして、農水省「未利用生物資源バイオマス」開発計画が1982年、同年には札幌で第2回国際会議も開催されています。

さらに、1985年から始まる文部省「科学研究費総合研究(B)キチン・キトサン及び関連酵素の基礎・応用研究の新展開」では、平野教授代表者のもと全国13の大学に助成金が交付され研究は一気に加速します。 次々と有用性が見出される中、1986年「キチン・キトサン」入りの健康食品が当社〔富士バイオ(株)〕から発売され、その4年後の2000年には特定保健用食品として認定を受けた製品が日清食品(株)から発売されています。

食品としての機能性に注目が集まる中、農業や繊維、電化製品などにも応用範囲は広がりを見せました。

特に医療業界では、1988年にユニチカ(株)が「キチン」を主成分とした人工皮膚を開発。1990年全身80%程の大火傷を負いサハリンから札幌医大に担ぎ込まれたコンスタンチン君の治療に効果を発揮したというニュースは、「キチン」利用のセンセーショナルな話題となりました。

また、1989年水産庁のプロジェクトとして始まった「水産物健康性機能有効利用開発事業」では、医学系の班長として愛媛大学の奥田拓道教授が迎えられ、広島女子大学の加藤秀夫教授らと血圧上昇(食塩)との関連について明らかにされています。

その後も、生体機能に関する基礎研究はとどまることを知らず、日本を先頭に世界中の研究者によって手掛けられます。

キトサン研究において様々な機能性を見出した城西大学の和田政裕教授は、キチン・キトサン協会誌vol.49でこう述べています。「キチン・キトサンのように、これほど多様な効果を同一物質で同時に持っているものというのは他に類を見ない。極めて高機能な素材なのである。」

協会は、1991年に初代理事長の松永亮医師(アスタークリニック院長)によって設立され、2代目理事長の奥田拓道教授(当時愛媛大学医学部)が務めた15年の間には、「カニ殼」研究に携わる各方面の識者を招き、一般の方を対象として全国での講演会活動や会報誌の発行を通じ啓蒙活動を行いました。

詳しくはこちらのページをご覧ください。→ 
キチン・キトサン協会 活動の記録

現在協会の活動は休止という形をとっていますが、一方で研究者の集まりである学会の活動は活発で、2018年には関西大学で国際会議が開かれるなど最先端の研究・発表が行われています。

そうした中で、その存在は明らかにされているものの、成分の特性から研究が立ち遅れてきた「キチン」を「ナノファイバー」という極細の繊維に加工した「キチンナノファイバー」の研究がこの数年目立つようになっています。

特殊な溶媒以外には溶かすことの出来ない「キチン」。それをナノファイバー化することで水に均一に分散したゲル状にすることを成功させた「キチンナノファイバー」は、「キチン」の研究に光を当てることになり、結果様々な有用性が見出されることになりました。

また、「キチン」同様「キチンナノファイバー」からも「キトサンナノファイバー」を得られることから、同成分の研究にも期待が寄せられています。

セルロースに匹敵する生物生産量を誇るキチンの研究開発や応用は、発見から約200年が経った今でも、最新素材として「キチンナノファイバー」を迎え入れ益々活発に行われています。